「保護犬はしつけが難しい」という声を耳にすることがあります。
実際には、保護犬だからしつけが難しいというより、その子がどんな経験をしてきたかによって進め方が変わってくる、というのが正確なところです。
今回は、保護犬を迎えたときに知っておきたいしつけの基本と、進め方のポイントを紹介します。
保護犬のしつけが「難しい」と言われる理由
保護犬のしつけの難易度は、その子が保護されるまでにどんな経験をしてきたかによって大きく左右されます。
保護施設ですでにある程度のしつけが身についている子もいれば、まったくしつけを受けたことがない子もいます。
過去に虐待や飼育放棄などを経験した保護犬の場合、人に心を開くまでに時間がかかることがあります。
とくに、社会化期(子犬の頃の重要な学習期間)を終えてから保護された成犬には、人に対する不安を抱えている子が多いといわれています。
ちょっとした音や動きにも敏感に反応したり、触られることを怖がったりすることもあるため、最初はどう接すればいいか戸惑うかもしれません。
まずは、迎える予定の保護犬がどの程度しつけを身につけているか、保護団体や愛護センターのスタッフに確認しておくと、しつけの進め方をイメージしやすくなります。
しつけを始める前に大切な考え方
しつけというと「教え込む」イメージを持たれがちですが、大切なのは「良いこと・楽しいことにつながる」と犬自身に理解してもらうことです。
たとえば「おすわり」を教える際も、できたらすぐにおやつや褒め言葉で応え、「おすわりをすると良いことがある」と結びつけていきます。
苦手なものがある場合は、少しずつ慣らしていくことが基本です。大きな声で叱りつけたり、途中で諦めたりせず、根気よく向き合う姿勢が求められます。
「かわいそうだから」と必要以上に過保護になる必要はありませんが、心を開いてくれるまでは焦らず付き合っていきましょう。
まず取り組みたい基本のしつけ
トイレ
保護犬は、外敵に居場所を知られないように寝床から離れた場所で排泄する習性を持つといわれています。
この習性を踏まえ、寝床とトイレの場所を離して設置すると、トイレを覚えやすくなります。長期間ケージ内で過ごしていた子は、寝床のすぐそばで排泄することに慣れてしまっている場合もあるため、根気強く教えていく必要があります。
おすわり
おすわりは、噛み癖や吠え癖の予防、落ち着きのない動きによるケガの防止にもつながる基本のしつけです。
お尻を優しく撫でながら、犬の顔を上に向けさせる(頭が上がるとお尻が下がる体の構造を利用する)と教えやすくなります。できたらおもちゃやおやつで思いきり褒めてあげましょう。
吠え癖
吠えには、警戒、要求、不安などさまざまな理由があります。
頭ごなしに叱るのではなく、何に対して吠えているのかを観察し、苦手なものに少しずつ慣らしていくことで改善を目指します。
しつけの際に気をつけたいこと
- 大きな声で叱らない:恐怖心を植えつけると、かえって問題行動が悪化することがあります。
- できたことを見逃さず褒める:小さな成功も見逃さず、その都度しっかり褒めることが定着への近道です。
- 一人で抱え込まない:うまくいかないときは、家庭犬のしつけ方教室など、科学的な理論に基づいて褒めてしつける専門家に相談することも選択肢です。
まとめ
保護犬のしつけは、その子の過去によって進み方がさまざまです。
「なぜできないのか」を責めるのではなく、「どうすればこの子に伝わるか」を考えながら、根気よく向き合うことが何より大切です。小さな一歩を積み重ねながら、
その子のペースでしつけを進めていきましょう。


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